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背骨治療の専門医に聞いてみました

腰の痛み・足のしびれは背骨の神経が圧迫される腰部脊柱管狭窄症が原因かもしれません

須賀 雄一先生
総合新川橋病院 整形外科部長 脊椎・脊髄センター長
Dr. PROFILE
資格:日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、厚生労働省認定義肢装具等適合判定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
多くの人を悩ませる、腰の痛みや足のしびれの症状。原因はさまざま考えられますが、加齢に伴って増えてくるのが、腰部脊柱管狭窄症など背骨の中を通る神経に関わる病気です。「神経はダメージを受けると回復しづらく、悪化する前に早めの治療が大切です」と話す総合新川橋病院の須賀先生に、痛みやしびれが起きるしくみや、受診のタイミング、治療方法について教えていただきました。
Q
腰痛や足のしびれの主な原因は何でしょうか?
Q
どのようなタイミングで整形外科を受診すべきですか?

外来の患者さんに問診すると、以前から腰痛や足のしびれを自覚していたものの、安静にしたり、市販の痛み止めを飲んだら改善していたという方がほとんどです。症状の悪化と軽快を繰り返すうちに、だんだん改善しなくなったため、整形外科を受診されているようです。
しかし、症状を気にしながら数カ月間など長期にわたって様子をみるより、もっと早めの受診をお勧めします。早期受診により、減量や姿勢の指導、リハビリ体操へのアドバイスを受け、日常生活習慣を見直すことで症状の悪化を防げることは多々あります。また前述の通り、脳梗塞やがんなど他の病気が原因になっていないかを確認するためにも、精密検査は大切です。

Q
痛みはなく、足首が上がりづらいのですが、受診した方がいいですか?

足首が上がりづらい、動かしにくいという場合、麻痺が起きている可能性がありますので、やはり一度早めに整形外科を訪ねてほしいと思います。神経には感覚神経と運動神経があり、感覚神経が圧迫されると痛みが出るのに対し、運動神経では痛みをあまり感じないまま、麻痺が進みます。痛みが弱いため発見が遅れ、そのままにしていると気づかないうちに悪化し、改善しにくくなることがあります。
麻痺は、患者さん自身ではなかなか気づきにくいものですが、歩いているとスリッパがすぐに脱げる、平地歩行でもつま先が引っかかるなどがないかチェックしてみてください。歩いているときに膝崩れするといった症状も要注意です。

Q
腰部脊柱管狭窄症について詳しく教えてください。
背骨には脊柱管という神経の通り道があり、首から腰にかけて骨のトンネルを形成しています。腰部脊柱管狭窄症では、何らかの理由でそのトンネルが狭くなることで中を走る神経が圧迫され、痛みやしびれを生じます。脊柱管が狭くなる理由として、周りにある骨の変形や椎間板、靭帯の変性肥厚などさまざまあります。背骨の椎体(ついたい)という部分がずれてくる腰椎すべり症、背骨が側方や後方に曲がってくる腰椎変性側弯症・腰椎変性後弯症なども腰部脊柱管狭窄症を引き起こす病気のひとつです。
腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状は、坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)と間欠跛行(かんけつはこう)です。坐骨神経痛では、おしりから太ももを通ってふくらはぎまで、電気が走るような痛みを感じます。ひどいときは、足の甲や裏まで痛みが広がることもあります。間欠跛行は、足の痛みやしびれ、脱力により、歩行が休み休みになってしまうものです。座っていたり前かがみのときには症状は出にくく、買い物カートを押したり、自転車をこいだりすることは休みなく続けられます。一方で、立ったり歩いたりする動作については、悪化すると連続して50メートルも歩けなくなったり、立っているだけでも足がしびれたりして、頻繁に休憩が必要になります。
腰部脊柱管狭窄症
間欠跛行