背骨治療の専門医に聞いてみました

何らかの気になる症状を感じていれば、まずは早めにお近くの整形外科クリニックを訪ねることをお勧めします。 人によっては、しびれの感覚が「しびれ」という言葉に直接結びつかず、「重だるい」「じんじんする」などと表現 されることもあります。何となく違和感があるものの、受診するほどなのかが分からず、迷っているうちに病気を 悪化させてしまう方も見受けられます。家事や外出などの日常生活がつらい、仕事 に支障がある時はもちろん、痛みのために気持ちが沈みがちといった精神的な影響 を感じるのであれば、それも受診のタイミングと考えてください。 なお、筋力低下や排尿障害を伴う場合は、早急な受診が必要です。神経が負うダメー ジとしては、痛みやしびれより「力が入らない」方が重篤であり、神経の機能の回 復が難しくなります。 受診の有無に関わらず、腰に負担がかかる作業は極力避け、どうしても必要なら負 担を軽減できるような工夫が必要です。例えば床から荷物を持ち上げる時は腰を屈 めないようにしたり、草むしりやお⾵呂掃除などの中腰作業は低い椅⼦を使⽤する などの⼯夫が必要です。

患者さんの病状によって治療も異なりますが、大きくは手術と手術以外の保存療法に分けられます。まずは保存療 法にしっかりと取り組みます。痛み止めの服用、運動療法や電気療法などのリハビリテーションが代表的です。 ⼀般的に最初に処⽅される消炎鎮痛剤などは変形した骨や椎間板を元通りにするものではありませんが、炎症を抑 えて痛みを緩和することで、今まで動かしづらかった部位を動かせるようになり、適切な姿勢を取りやすくなりま す。その他にも様々な作用によって痛みを和らげる薬もあります。精神的な健康を考えても、まず痛みを和らげる のは大切なことです。 運動療法では、太ももの後ろ側や、ふくらはぎからアキレス腱にかけてのストレッチが効果的なことが多いです。 すべり症や圧迫骨折などで不安定性がある場合、医師の管理のもと、ご自身に合った コルセットを保険適用でつくることもできます。 これらを行っても症状が十分に改善しなければ、ブロック注射が次の選択肢となりま す。ブロック注射は、痛みのある神経の近くにステロイド剤や局所麻酔剤を直接注入 するもので、いろいろな種類があります。痛み・炎症の軽減のほか、圧迫された神経 の位置の特定を目的に用いることもあります。 大半の方は、これらの保存療法を組み合わせて行うことで症状が軽快していきます。 保存療法を続けても、痛みのために家事ができない、着替えるのも大変など、日常生 活に支障がある場合は手術を検討します。