背骨治療の専門医に聞いてみました
腰痛・下肢の痛みやしびれは早期受診を。原因は「せぼねの病気」かも!?
医療法人社団正心会・岡本石井病院
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症状を引き起こしている原因に合わせて、それぞれ手術療法があります。変性した椎間板や骨のとげが神経を圧迫 している場合は、それらを除去し、神経の通り道を広げます。さらに、すべり症などで骨のぐらつきが強い場合は 骨を金属のインプラントで固定して、安定性を高めます。 近年では、 内視鏡⼿術に代表されるように 、 傷が⼩さく 、 筋⾁へのダメージが少ない術式が開発され普及していま す。ただし、 単純な傷の大きさだけではなく、出血 量の低下や手術時間の短縮など、トータルで体への 負担を抑えることで、回復・リハビリにかかる期間 も短くなると考えられています。 圧迫⾻折であれば 、背中に数ミリの⽳を開け 、そ こから中空の細い筒を設置して 、 バルーンの付いた 器具を⾻の中に⼊れて 、 それを膨らませて潰れた⾻ を持ち上げて 、 そこにできた空洞に骨セメントを充 填する⽅法もあります。経皮的椎体形成術と呼ばれ るもので、ここ10 年ほどで広がってきた低侵襲手 術のひとつです。
年齢だけで手術の可否が決まることはなく、低侵襲手術が普及してきたことで、適応となる患者さんの層は広がっ ています。全身状態がよければ80 代以降でも手術は可能ですし、より安心・安全に手術を進められるよう、必要 に応じて患者さんのかかりつけの内科の先生とも連絡を取り合います。腰痛や下肢のしびれのためにご自身で十分 に動けなくなると認知機能や筋力が落ち、要介護となる可能性も上がるため、そうした悪循環を避けるために手術 を選択するケースも増えています。 ただし、低侵襲といっても手術である以上全くリスクがないわけではなく、あくまで歩⾏などの⽇常⽣活を送るた めに必要な動作に著しい影響がある 、 または保存的治療を⾏なっても改善のみられない強い痛みやしびれ、あるい は筋力低下、膀胱直腸障害がある方の選択肢となります。前述の通り、手術以外の治療も充実していますので、年 齢を理由に最初から痛みやしびれをあきらめる必要はありません。まずはご自身の状態について客観的な診断を受 け、適切な治療に向き合ってください。