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背骨治療の専門医に聞いてみました

腰椎椎間板ヘルニアは保存療法から低侵襲で負担の少ない手術療法までさまざまな治療選択肢があります

湯浅 将人先生
練馬総合病院 整形外科
Dr. PROFILE
2003 年東京医科歯科大学医学部卒業、同年東京医科歯科大学医学部整形外科に入局。米国Vanderbilt大学整形外科、済生会川口総合病院整形外科、東京医科歯科大学整形外科助教を経て2021 年より現職。
専門分野:脊椎脊髄分野、骨粗鬆症
資格:日本整形外科学会認定専門医・脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医
所属学会等:日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会
Q
手術後のリハビリや痛みについて教えてください
リハビリ室
リハビリ室
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手術後は、一般的には手術の翌日からリハビリが始まります。具体的には、歩行練習や腰周りの筋力トレーニング、臀部(お尻)や腹筋のストレッチなどを慎重に行っていきます。手術後の痛みについては、切開する傷口が以前より小さくなっているので、痛みの程度も昔の傷口が大きなときとはかなり違うと思います。それに加えて、近年は、手術中から鎮痛薬を投与して、手術後も鎮痛作用が持続するように工夫するなど、疼痛管理も進歩しています。その意味でも手術後の疼痛は低減されているのではないかと思います。

Q
腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のために、どのような注意が必要ですか?
体重コントロール
体重コントロール
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退院してご自分の生活に戻った後は、生活習慣を改善することが大切です。例えば、あまり体重が増えすぎて肥満になってしまうと、腰の椎間板にかかる負担も重くなり、再発してしまうことがあります。また、喫煙も控えたほうがよいでしょう。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させてしまうため、栄養分が細胞に行き渡らなくなってしまい、椎間板ヘルニアのリスクが高まるといわれています。さらに、姿勢も重要です。前かがみの姿勢を長く続ける、地面に置いてある重い荷物を持ち上げるという動作、イスなどに長時間座り続けることも、腰椎椎間板ヘルニアの再発リスクを高めるので、避けたほうがよいでしょう。

Q
趣味のスポーツは再開しても問題ありませんか?

腰椎椎間板ヘルニアの手術後に、してはいけないスポーツは、基本的にはないと思います。ただ、昔やっていたスポーツを急に始めるようなことは、避けたほうがよいでしょう。普段使っていない筋肉などを急に使い始めると、必ずどこかで体が悲鳴を上げます。少しずつ動作の範囲を広げながら行うことをお勧めします。

Q
筋トレは、再発予防に効果がありますか?
筋トレ
筋トレ
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筋力強化は、腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にとても重要です。特に、腰椎の椎間板を支える腹筋や背筋を鍛えることで、腰椎椎間板にかかる負担を減らすことができます。ただし、あまり腰に負担がかかるような筋トレは逆効果になってしまうので、仰向けになってできるようなトレーニングがよいでしょう。例えば、仰向けに寝て、自分のおへそを覗き込むように上体を少し起こすような動作で腹筋を鍛えます。次に、うつ伏せになって寝て、少し上体を上げる動作で背筋を鍛えます。さらに、横向きに寝て、足を上げる動作も腰椎の椎間板を支えるインナーマッスルの強化につながります。このような筋トレを、毎日、コツコツと続けていくことが大切です。

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Q
コルセットを装着し続けていても問題ありませんか?

腰のコルセットは、手術後の数週間は、手術部位を保護するという目的では大変有効です。しかし、必要な時期を過ぎても装着し続けてしまうと、コルセットの力に頼り過ぎてしまって、腰回りの筋力が弱ってしまいます。医師の指導に従って、コルセットは外すようにしてください。

Q
コロナ渦で、腰が痛いという人が周りに増えています。理由は何ですか?

20 代〜40 代という働き盛りの世代に在宅でのリモートワークをされている方が増えている中で、整形外科でも腰痛で受診される方が増えている印象があります。オンラインでの長時間の会議をはじめ座っての作業が日中長時間続くなどで、腰に負担がかかっていることが原因のようです。腰への負担という意味では、立っているときよりも座っているときのほうが腰椎椎間板にかかる負荷が1.5 倍くらい大きいといわれています。腰椎椎間板を守るために、30 分〜1時間くらい座り続けたら、腰周りの筋肉のストレッチをすることをお勧めします。

Q
最後に腰や足の痛み、しびれに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします

腰や足の痛みに悩んでいる方は、統計上も多くなっているにもかかわらず、お一人で悩んでいる方も少なくありません。一人で抱えないで、整形外科医の診察を受け、診断してもらうことが、次につながると思います。腰の痛みの原因が腰椎椎間板ヘルニアと診断されても、いきなり手術になることはほとんどありません。保存療法で改善されるケースも多くあります。また手術が必要だとしても、侵襲が少ない手術法を含めて、整形外科にはいろいろな治療法があります。まずは、相談していただいて、医師とともに二人三脚で治療法を探っていってください。