背骨治療の専門医に聞いてみました
背腰から下肢にかけての痛み・しびれ腰部脊柱管狭窄症は我慢しすぎずに脊椎専門医に相談を
基本的には、手術の翌日~翌々日くらいからリハビリを開始します。おもな症状が腰痛や下肢のしびれ、間欠性跛行がメインであれば、手術により神経の圧迫が取れることで症状の改善が期待されますので、歩行訓練などのリハビリを経て退院となります。ただし、除圧術の場合は1か月程度、固定術の場合は3~6か月程度、安静のため腰にコルセットをつけて生活することがあります。一方、強い神経の圧迫によって神経麻痺を起こし、術前から下肢の筋力低下や歩行困難のある方は、術後に下肢の筋力訓練や歩行訓練などのリハビリが必要になることがあります。麻痺の強い方の場合は、手術をしたからと言ってすぐに良くなるわけではありません。その場合、専門のリハビリ病院で2~3か月程度、リハビリが必要になることがあります。
治療により症状が良くなったとしても、再び腰を酷使すると症状が再発することがあります。とくに椎間板は、使えば使うほど加齢による変性が進みます。日常生活の注意点としては、腰に負担のかからない生活が大切です。たとえば地面にある荷物を持つときは、腰を曲げるのではなく膝を曲げて行うようにするなど意識してください。ほかにも腰を深く曲げる、伸ばす、ひねるといった動作は固定したスクリューがゆるんでしまう恐れがあります。固定術の場合、骨がくっつく骨癒合の確認ができるまで1年ほどかかることがあります。この手術は骨癒合してはじめて手術が完成したと言えるので、手術したからといって終了ではありません。1年くらいは無理な姿勢をしないよう説明しています。
我慢し続けてしまうことで神経が傷んでしまうので、持続する足の痛みやしびれ、まひなどを感じたら早期に受診するようにしましょう。整形外科といっても、関節専門、手の外科専門など、それぞれの専門分野は異なります。腰の痛みや足のしびれがあれば、正しい診断を受けて適切な治療に進むためにも、脊椎専門医にご相談いただくことをおすすめします。また一人の脊椎専門医だけでは不安な場合は、2~3人複数の医師の意見を聞き(セカンドオピニオン)、ご自身が納得できる医療機関で治療してもらうことも一つの方法だと思います。