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背骨治療の専門医に聞いてみました

手足が痛むしびれる、腰が痛い。原因はさまざまです。自己判断せず専門医に相談を

中西 一夫先生
川崎医科大学附属病院
整形外科 副部長(准教授)
川崎医療福祉大学
リハビリテーション学部
理学療法学科 教授
Dr. PROFILE
日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本骨粗鬆症学会認定医
杉本 佳久先生
川崎医科大学附属病院
整形外科 医長(講師)
Dr. PROFILE
日本整形外科学会認定整形外科専門医・認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医
Q
背骨の疾患を発症させないために、日常生活で気をつけたほうが良いことはあるのでしょうか?
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中西 特に腹筋と背筋が大切です。特に歳をとると生活の中で背筋を使うことが少ないので、背筋を意識的に鍛えたほうが良いでしょう。背筋を鍛えると、背骨の疾患の予防のみならず骨粗鬆症による圧迫骨折が減るという報告もあります。家の中でできるお勧めのトレーニングはヒップアップですね。仰向けに寝転がって、膝を立ててお尻を持ち上げるだけで背筋を鍛えられます。高齢の方や寝る前にも行えますが、脊柱管狭窄症の方の中には痛みが出る部分がありますので、その時には控えていただきたいと思います。そのほかに柔軟性も大事です。お風呂上がりにゆっくり自分のペースでストレッチを行ってほしいと思います。筋力トレーニングや柔軟性を向上させるのは大切なのことです。しかし、中には痛みが出るほど頑張る方もいらっしゃいますが、痛みが出るということは身体が異常を訴えているので、痛みが出ない範囲で行ってほしいと思います。

水中歩行
水中歩行
水中歩行
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杉本 太らないほうが良いとは思いますが、ダイエットを意識しすぎて筋肉が落ちてしまってはいけません。自己流で筋力トレーニングを行っては、鍛えたい部分をしっかり鍛えることができなかったり、筋肉を傷めてしまったりすることがあります。お勧めのトレーニング法は、プールで歩いたり泳いだりすることです。プールの中であれば、転倒による骨折の心配もありません。また、浮力が働くので膝など関節への負担が少なく、背骨だけでなく水の抵抗によって普段使わない全身の筋肉まで鍛えることが期待できます。

Q
現在、背骨に発生した疾患に悩んでいる方や受診をためらっている方にメッセージをお願い致します

中西 痛みを一人で抱え悩んでいると、ストレスが増してしまい、身体だけでなく精神にも影響を与えることがあります。悩みや不安があれば、まずは専門医に相談しましょう。痛みの原因である疾患が見つかった場合にショックを受けることがあるかもしれませんが、原因が分かればその治療法も分かり前向きになれるのではないでしょうか。もう歳だからとご自身で決めつけ、諦める必要はありません。現在は、侵襲の少ない治療法が開発され高齢の方でも手術を受けられるチャンスが広がっています。痛みやしびれがあれば、専門医に相談してご自身に合った治療法を選択していただきたいと思います。

杉本 手足や腰に痛みやしびれが出る原因はさまざまです。腰の場合であれば、背骨だけでなく内臓疾患や精神疾患によって腰痛が出ることもあります。強い痛みや、昔できていたことができないなど生活の質が低下しているなら、ご自身のお話をきちんと聞いてくれて、痛みやしびれの原因を正確に説明してくれ、患者さんをしっかり診てくれる先生に気軽に相談してもらいたいです。