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背骨治療の専門医に聞いてみました

腰痛や足のしびれは背骨の病気が原因のことも。早期に専門医に相談し適切な治療を

岡崎 洋之先生
三愛会総合病院 整形外科診療部長
Dr. PROFILE
専門分野:脊椎外科・外傷全般
資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、難病指定医、身体障害者福祉法第15条指定医師、小児運動器疾患指導管理医師
尾又 弘晃先生
三愛会総合病院 整形外科医長
Dr. PROFILE
専門分野:脊椎外科・外傷全般
資格:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医、難病指定医、昭和大学整形外科兼任講師 医学博士
Q
術後のリハビリはどのように進めますか?

岡崎 通常は手術翌日から、起き上がりの動作や歩行訓練を開始します。術後数日間は傷の痛みがありますので、痛みのコントロールをしっかりと行います。麻酔科医との連携のもと、手術が終わる前に痛み止めの注射を打って目覚めたときの痛みを軽減したり、術後も内服や点滴、注射などを併用することにより、早期リハビリを可能にします。
入院期間は術前の重症度にもよりますが、除圧術では1~2週間程度、固定術では2~3週間程度が目安です。麻痺を合併している人はもう少し長くかかることもあります。固定術を行った患者さんは、移植した骨がつくまで、術後3~4カ月間はコルセットの着用をお願いしています。その間に金具が折損したり、骨がつかない偽関節(ぎかんせつ)の状態になるのを避けるためです。

Q
退院後の生活で気をつけることはありますか?

尾又 普段の生活の中で、体をひねったり、勢いをつけた前屈などは避けるようにします。床にあるものを拾うときには、腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落として拾うことを心がけてください。重いものはなるべく持たないなど、ちょっとした気配りで腰にかかる負担を減らすことができます。また、布団で寝起きしていた方は、ベッドを使った洋式の生活に変えることをお勧めしています。
運動については、激しいコンタクトスポーツは避けていただきたいのですが、体重コントロールのためにもウォーキングなどは積極的に行ってほしいと思います。さらに、中高年以上の女性は特に骨粗しょう症にならないようバランスのとれた食事や適度な日光浴を心がけてください。

Q
腰の痛みや足のしびれに悩んでいる方にメッセージをお願いします。

岡崎 医療の進歩とともに、腰部脊柱管狭窄症の治療方法は確立されてきました。手術はその中のひとつであり、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。同じ病名であっても患者さんの背景、今後起こりうる変化、画像所見などによって治療法は異なりますし、術後の回復の程度・期間もさまざまです。まずご自身が今どのような状態にあり、今後どのように治療を進めていくべきなのか、医師に相談し、理解していただければと思います。

尾又 腰の手術をしたら寝たきりになる、歩けなくなるといった誤った情報に惑わされている患者さんをしばしば見受けます。しかし実際は、手術方法が進歩したことで合併症が起きにくい環境が整っていること、また合併症を予防するためにさまざまな対策がなされていることを知っていただきたいです。気になる痛みやしびれがあれば、まずは整形外科を受診し、ご自身が信頼できる医師のもとで積極的に治療に向き合っていくことをお勧めします。