井口 洋平先生
大分整形外科病院 副院長
所属学会:日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会、日本脊髄障害医学会、日本脊椎インストゥルメンテーション学会、西日本脊椎研究会
痛みが強い手術当日~翌日までは、鎮痛・鎮静効果の高い薬剤を使用します。それ以降は通常の鎮痛剤でコントロールし、早期のリハビリ開始を目指します。
入院期間は施設による差はありますが、合併症が起こらないかなどを確認するため、内視鏡による除圧術の方でも、数日から1週間程度は必要です。その間、リハビリ指導も並行して進めます。
固定術の場合、手術後数日間は血腫による合併症予防の為、ドレーンと呼ばれる管を装着して血液などを体外に排出する処置をします。そのため、入院期間は合わせておよそ2~3週間かかるケースが多いです。
先述のとおり、腰椎椎間板ヘルニアは再発の可能性もあり、術後3ヶ月以内に起こる傾向があります。そのため、コルセットを付けて、仕事でも「重いものを抱えない」「中腰にならない」などを意識してもらいます。
固定術は、金具にゆるみが起こらないよう、前かがみの姿勢は控え、決して無理な動きはしないようにとお伝えします。たとえ仕事でも、体を酷使する動きや農作業などは骨が安定するまでお控えいただく必要があります。
日常生活では、背筋を伸ばす正座は悪くないのですが、腰を曲げる動作には気をつけてもらいます。和式のスタイルで、座って足を延ばしたりあぐらをかいたりという姿勢も腰が曲がる状態になるので避けたほうが良いでしょう。スポーツは、ウォーキングなど筋力をつける効果があるものをお勧めしています。同じく足腰を鍛えるリハビリやストレッチなどにも取り組んでもらいたいものです。
症状には、放置してしばらく様子をみていいものと、少しでも早く受診すべきものがあります。特に、筋力低下や排尿障害という自覚症状があったら、早めに専門医に相談してください。そのためには、常日頃から“かかりつけ医”をもって、状態を判断してもらい、細かくアドバイスを受けていくと良いでしょう。
麻痺などの神経障害は放置しておくと治らなくなることも少なくありません。ご自身の症状としっかりと向き合い、治療を検討されることをお勧めします。