背骨治療の専門医に聞いてみました
背骨が曲がる、腰が曲がる変性後弯症(腰曲がり)は、病気です。
歳のせいとは限りません。脊椎専門医に相談を
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CHAPTER01高齢女性に多い腰曲がり(変性後弯症)
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CHAPTER02変性後弯症(腰曲がり)の予防法と受診のタイミング
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CHAPTER03腰曲がり(変性後弯症)の治療法と手術のタイミング
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CHAPTER04過去10年ほどで腰曲がりの手術は大きく進化
最近では良い鎮痛剤がありますので、術後の痛みは十分に抑えることができます。多くの患者さんは、手術翌日の夕方頃までには痛みが軽くなるようです。
リハビリは手術翌日から痛みの程度に応じて開始し、脚やお尻の筋肉などを中心に徐々に筋力を強化していきます。歩行器を使った歩行を進め、バランス訓練も並行して行います。トイレにも、手術後の翌日からご自身で行くことができます。
一般的に入院期間は10日~2ケ月と開きがあり、高齢の方ほど入院期間が長くなる傾向にあります。早い退院を希望されて、一生懸命にリハビリに取り組む患者さんは、実際に早く退院することができます。入院前からの「早く良くなりたいから頑張る」という強い気持ちが重要ということだと思います。
人それぞれではありますが、腰痛が和らぎ歩きやすくなった、腹部の圧迫感がなくなり逆流性食道炎が改善した、脊柱のバランスが良くなり首や肩のこりが軽くなったなど変化を感じる方が多いようです。そうした声を聞くと、私自身もあらためて、腰曲がりは多くの症状につながっていて、治療が大切であることを実感します。
なお、術後4~5カ月間は体幹を折り曲げる動作が禁止されますので、注意してください。手術は後弯を矯正し、ビスとロッドでそれを維持しています。最終的には腰椎部に移植した骨が癒合し、正しい姿勢を保てられるようになるまでは曲げる動作が制限されるということです。床にあるものを取るときはしゃがんだり、マジックハンドを利用するなどの工夫が必要です。
とはいえ、その間は家に閉じこもっていなければならないわけではなく、積極的に歩くようにして、下肢と体幹を鍛えてください。術後半年を過ぎて、しっかりと矯正した位置に骨癒合していれば、スポーツも軽いものから徐々に始められます。極端に激しいスポーツでなければ特に制限はありません。
腰曲がりは、ただちに生命が脅かされるような病気ではありません。しかし、年齢より老けて見られるのが嫌で外出しなくなる、腰痛や歩行障害のために友達と外出できないなど、患者さんの生活の質を低下させるものです。体に明確な傷があるわけではないため、周囲からは「年をとれば背中が曲がるのは当たり前」と受け止められ、本人の苦しさが伝わりにくいのも事実です。まずは、腰曲がりは立派な病気であり、正しい治療が必要という認識を、患者さんにもその周囲の方にも持っていただきたいと思います。
また、保存療法では効果が得られなかった場合、それでも手術に踏み切るのが怖いという方は少なくないでしょう。もちろん全くリスクのない手術ではありませんが、過去10年ぐらいで日本でも手術件数は著しく増加していて、手術の技術や使用する医療機器の性能は大幅に進化しています。高齢の方には特に、人生100年とも呼ばれる今、残りの人生をどう過ごしたいかをあらためて考えていただきたいと思います。メリット・デメリットをしっかり理解した上で手術という選択肢に賭けてみるのも良いのではないかと思います。
腰曲がりで悩んでいる方は、ぜひ脊椎専門医に相談してください。