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背骨治療の専門医に聞いてみました

腰椎椎間板ヘルニアは保存療法から低侵襲で負担の少ない手術療法までさまざまな治療選択肢があります

長山 隆一先生
医療法人寺西報恩会 長吉総合病院 整形外科統括部長
Dr. PROFILE
資格等:日本整形外科学会専門医、日本脊椎脊髄病学会指導医、脊椎脊髄外科専門医、中部日本整形外科・災害外科学会評議員、日本整形外科学会リハビリテーション認定医、難病指定医
専門:脊髄脊髄外科
Q
術後のリハビリテーションについて教えてください
リハビリを開始します
リハビリを開始します
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一般的に手術翌日には離床し、リハビリを開始します。消炎鎮痛剤や低用量オピオイドといった医療用麻薬を使用して術後の疼痛コントロールを行うため、早期のリハビリがスムーズに進むようになりました。それによって、術後深部静脈血栓症の予防にもつながっています。術前の状態によって術後のリハビリテーションの内容は若干異なりますが、おおむね下肢の筋力強化と、拘縮予防のための関節可動域訓練が中心となります。
歩ける方にはどんどん歩いていただきますが、歩行練習で心がけていただきたいのは「上手に、格好良く歩く」こと。背中を丸めて歩くと下肢に影響があり、二次的な腰痛の発症要因にもなりかねませんので、前を向いて、胸を張って歩くように指導しています。また、術式によっては、術後1 か月~ 3 か月くらいコルセットを着用していただくこともあります。

Q
退院後の生活で気を付けなければならないことはありますか?

手術によって骨を削ったり、関節を切除したりしており、骨折を予防するために術後3 か月くらいは腰をひねらない、過度に身体を前や後ろに曲げる動作も避けていただきたいですね。退院後3 か月~半年はストレッチを行い、硬くなった筋肉を柔らかくしてあげることが大切です。術後の靴下がはきにくいといった症状も、ストレッチを行うことで徐々に改善していきます。半年以降は筋力強化の運動、ゴルフであれば打ちっぱなしに行くなど、徐々に身体を作っていきましょう。正式にスポーツに復帰するには、1 年くらいかかると考えておいてください。サッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツは控えていただきたいですが、テニスやゴルフを行われている方はたくさんおられます。

Q
腰や下肢の痛み、しびれなどに悩んでいる方へアドバイスをお願いします

生活をする上で、痛みやしびれは非常につらい症状です。保存療法や手術療法を行っても、なかなか痛みやしびれをゼロにすることはできません。ですから、症状をゼロにすることを目標にするのではなく、日常生活や社会生活を支障なく送ることができるレベルを目標のゴールにしていただければ、満足な結果が期待できると思います。脊椎疾患には様々な病態があり、手術方法もまた様々です。同じ疾患でも、医師によって治療方針が異なることもあります。どういう手術を行うかは、以前は医師が決めることが多かったと思いますが、患者さんにも考えていただき、患者さんと一緒に選択していくのが理想的な形だと考えています。痛みやしびれに悩んでいる方は、まずは整形外科を受診し、ご自身の疾患とその状態を正確に理解してください。その上で、信頼できる担当医と治療方針についてしっかりと相談し、十分に納得してから、ご自身で治療法を選択することがとても大切だと思います。