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背骨治療の専門医に聞いてみました

頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症による首の痛みや手足のしびれは神経が発信するSOSのサインです

山崎 昭義先生
社会医療法人仁愛会 新潟中央病院 院長
Dr. PROFILE
専門:脊椎・脊髄外科
資格:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本整形外科学会脊椎内視鏡下手術 技術認定医、日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本脊椎脊髄病学会評議員、東日本整形災害外科学会評議員、日本脊椎インストゥルメンテーション学会評議員、日本腰痛学会評議員、新潟大学医学部臨床教授
Q
術後のリハビリの重要性について教えてください

術前の時点で手足の動きが悪い人や、力が弱い人は、当然ですが術後にリハビリを行って症状の改善を目指していくことが大切です。あとは、深部感覚障害によってバランス感覚が悪くなり、ふらついて歩きにくくなっている人がいますので、そのような場合もリハビリで改善していく必要があります。ただ、リハビリは病院で行うものだけでなく、日常生活そのものもリハビリになります。例えばポケットの中に硬貨をいくつか入れて、それを触りながら何円の硬貨なのかを当てたり、ペンで文字を書いたり、箸でごはんを食べたりといった動作を、リハビリの一環として術後の生活の中で取り入れていくとよいでしょう。

Q
術後の痛みのケアについて教えて頂けますか?
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手術時の表面的な傷の痛みは数日で治まりますし、痛み止めの薬で抑えることもできます。ただ、後方アプローチでは首の後ろの筋肉を骨から剥がすため、術後に首の筋力が落ちて、無意識に頭が前の方に来ることがあります。その間は強めの肩こりが出たりしますが、筋肉を使い始めると次第に改善されていきます。以前は術後1週間程度はカラーによる固定をすることが多かったですが、最近は首の筋肉の回復の遅れを防ぐために、除圧術ではカラー固定をしていません。ただし、金具を使って関節固定を行った場合には、カラー固定を行います。また、手術の傷が治るまでは合併症の心配がありますので、1週間~10日程度は入院して頂くことが多いです。

Q
退院後に日常生活の中で気を付けることはありますか?

椎弓形成術の場合は骨を一部削って開いているため、術後は骨の強度が弱まります。椎弓がしっかりしてくるまで3~6カ月程度かかるので、その期間はあまり無理な運動をしない方がいいでしょう。また跳んだり跳ねたりするスポーツやコンタクトスポーツは、術後早期は避けていただきます。ランニングも軽く跳んでいる状態ですので首に負担がかかりますし、椎間板の加齢変性を促進する可能性があるので、ウォーキングを推奨しています。

Q
症状に悩んでいる方へ先生から一言お願いします

首の痛みに加えて、手足のしびれが出始めたら早めに整形外科を受診した方がいいでしょう。これらの症状は神経が発信するSOSのサインです。病気が進行するとしびれや痛みをむしろ感じなくなることもあり、そうなると受診や治療のタイミングを逃してしまう可能性があります。症状の原因が特定されることで、どのような治療選択肢があるのか知ることができます。あまり一人で悩まずに、早めに専門医に診てもらうことをお勧めします。