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背骨治療の専門医に聞いてみました

神経を圧迫する腰部脊柱菅狭窄症放置せず、専門医のもとで適切な治療を

水野 広一先生
土浦協同病院 整形外科部長
Dr. PROFILE
専門分野:脊椎外科
1990年 東京医科歯科大学医学部卒業、2004年 東京医科歯科大学大学院卒業、2020年4月~土浦協同病院整形外科部長
取得資格:日本専門医機構整形外科専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会専門医、日本脊椎脊髄病学会指導医
所属学会:日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会、日本脊椎インストゥルメンテーション学会、日本腰痛学会
Q
術後のリハビリテーションについて教えてください
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術前に麻痺がなかった人は、手術翌日から理学療法士のもとで歩行訓練を行います。最初は歩行器を使い、次に杖、それが大丈夫であれば独歩というように徐々にステップアップしていきます。除圧術のみの場合は1~2カ月、固定術を行っていれば3~4カ月の間は、退院後もコルセットを付けて過ごします。
麻痺があった人のリハビリの進行は、患者さんそれぞれの麻痺の程度によって異なります。患者さんによっては、回復期リハビリテーション病棟に移って一定期間リハビリに取り組んだり、介護保険サービスによる通所リハビリを続ける場合もあります。術前に、足首が全く動かなかった人や、麻痺が出てから長い時間が経っている人ほど、総じて回復に時間がかかります。

Q
手術を受け、根気よくリハビリを続けていれば麻痺は治りますか?

術前に麻痺があっても、軽度であれば数カ月間など長い目で見る中である程度の回復を期待できます。ただし、中枢神経に近いところの神経細胞が完全に損傷してしまっている場合、リハビリを続けても麻痺が残ることはあります。脊柱管狭窄症の手術は、神経を圧迫している原因を取り除くことが目的であり、傷ついてしまった神経を直すものではないという点で注意が必要です。神経の圧迫による歩行時などの痛みは手術により改善しますが、安静時にも感じていたしびれや脱力、感覚異常などは術後も残りやすいといえます。ただ、手術によって生活に支障がないレベルまで回復したのであれば、それ以外の症状とはうまく付き合いながら、活動レベルを上げていくことで生活の質の向上につながります。

Q
退院後の生活で気をつけることはありますか?

コルセットでの安静期間を過ぎれば、積極的に動くようにしてほしいと思います。特に高齢の女性では、骨粗しょう症との合併が増えてきます。それを防ぐために骨と筋肉を強くするよう、バランス良い食事や日光浴、適度な運動を心がけてください。骨密度が低い場合は、あらかじめ骨粗しょう症のお薬を出すこともあります。
スポーツはレクリエーション程度のウォーキングやジョギングであれば問題ないでしょう。ゴルフは腰に負担がかかりますので、患者さんの強い希望があれば、その旨をお伝えした上で無理のない範囲で行っていただきます。固定術の後は、1カ所のみの固定であれば背骨の動きはほとんど損なわれませんが、重症の患者さんで数カ所に渡って固定した場合、背骨のなめらかな動きが求められる運動は避ける必要があります。

Q
痛みやしびれに悩んでいる人へのアドバイスをお願いします

痛みやしびれがあるとき、最初に訪ねるのはお近くの整形外科クリニックになると思います。そこで診察を受け、手術が必要な可能性があると医師が判断すれば、専門の病院を紹介してもらえます。専門医のもとで本当に手術すべき状態にあるか詳しく診てもらい、やはり手術の適応となれば、手術で得られるメリットとデメリットをよく理解した上で判断し、治療に臨んでください。
日本整形外科学会や日本脊椎脊髄病学会のホームページにも、患者さん向けの治療の知識や情報が紹介されています。地域ごとの専門医のリストも掲載されていますので、迷うことがあればそうしたところも参考にしてみてください。